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自然災害時に家とお金を守る!3つの公的支援制度
2019年は台風15号・台風19号など、度重なる災害で広範囲にわたり大きな被害が発生しました。こんなとき、被災者は途方に暮れてどのように生活を立て直していいのかわからなくなります。自然災害はいつ・どこで起こるかわかりません。そこで今回は、いざというときに困らないように、自然災害時に受けられる3つの公的支援制度についてご紹介します。
自然災害で被害を受けたら要確認!「被災者生活再建支援制度」
私たちの生活に大きな影響を与える自然災害が起きたとき、受けられる公的支援のひとつが「被災者生活再建支援制度」です。
被災者生活再建支援制度とは?
被災者生活再建支援制度は、自然災害によって住居に多大なる被害を受けた世帯に対し、被災者生活再建支援金を支給することで生活支援をおこなう制度です。
この制度は、1998年5月に成立した被災者生活再建支援法に基づいて作られました。その後2007年11月に同法が改正されたことにより、手続き方法が改善され使用用途の制限もなくなり利用しやすくなりました。
被災者生活再建支援制度の適用範囲
被災者生活再建支援制度が適用となる自然災害は、以下のとおりです。
一定以上の規模の、暴風・豪雨・豪雪・洪水・高潮・地震・津波・噴火・その他の異常な自然現象
これらの自然災害による地盤被害などで住宅に被害があり、なおかつ制度が適用となる災害と都道府県が公示した場合に、被災者生活再建支援制度が適用されます。
参照:被災者生活再建支援法
http://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/shiensya.html
被災者生活再建支援金の内容は?
被災者生活再建支援制度では、次のような支援金が用意されています。
【基礎支援金】:住宅の被害程度に応じて支給される
・全壊世帯:100万円
・大規模半壊の世帯:50万円
※単身世帯の場合は上記金額の4分の3となります。
【加算支援金】:住宅の再建方法に応じて支給される
・建設・購入:200万円
・補修:100万円
・賃借(公営住宅を除く):50万円
※単身世帯の場合は上記金額の4分の3となります。
被災世帯には、基礎支援金と加算支援金の合計額が支給されます。いずれも使用用途に制限はなく、どのようなことにでも利用できます。
支援金の支給対象となる世帯は?
支援金の支給対象となるのは、次のような世帯です。
【支援金の支給対象世帯】
①住宅が全壊または大規模半壊した世帯
②住宅が半壊し、大規模な補修が必要な場合
③住宅が半壊または敷地に被害があり、やむを得ず住宅を解体しなければならない場合
④災害による危険な状態が続き、長期にわたり住み続けることが困難になった場合
引用:内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」
http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/080818gaiyou.pdf
支援金の申請方法と必要書類
被災者生活再建支援金支給の申請書は、必要書類を添えて被災当時にお住まいの市区町村に提出します。必要書類には以下が含まれます。
【基礎支援金申請に必要な書類】
罹災証明書・解体証明書・減失登記簿謄本・敷地被害証明書類・住民票・預金通帳の写し
【加算支援金申請に必要な書類】
住宅購入や賃借などの契約書の写し
また、申請期間が決められているので注意してください。
【申請可能期間】
・基礎支援金は災害発生日から13か月以内
・加算支援金は災害発生日から37か月以内
いずれも詳細については、都道府県もしくは市区町村の担当窓口で確認しましょう。
参照:被災者生活再建制度の概要
http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/pdf/080818gaiyou.pdf
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住宅の一部を応急的に修理したいときに使える、「住宅の応急修理制度」
住宅の応急修理制度とは
自然災害で自宅が半壊しても、修理すれば住むことができそうなケースもあります。とはいえ、急に修理費用を用意するのが難しい場合はどうすればいいのでしょうか。そんなときは、「住宅の応急修理制度」が利用できます。
「住宅の応急修理制度」は、被災した自宅の修理費が支給される制度です。災害救助法に基づいて実施されており、自宅の屋根・壁・床・ドア・窓・キッチン・トイレ・上下水道の配管・電気配線など、日常生活に必要な最小限の部分を修理することができます。この場合、市町村が修理を業者に委託し、修理費は市町村が業者に支払う形で進められます。
以前は半壊の場合にのみ適用されていましたが、2019年に起きた台風15号や19号による被災からは、一部損壊(準半壊)の場合でも利用できるようになりました。
住宅の応急修理制度で支給される金額は?
この制度を利用して支給される修理費は、以下。
・半壊・大規模半壊:595,000円以内
・一部損壊(準半壊):300,000円以内
※上記は、2020年2月19日現在の金額です。
※制度の対象外となる修理は自己負担になります。
参照:内閣府 防災情報のページ「災害救助法に基づく住宅の応急修理に関するQ&A(市町村職員・被災者向け)」
http://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/pdf/oukyuushuuriqa.pdf
住宅の応急修理制度を利用する際に必要な要件は?
住宅の応急修理制度を利用するには、次のような要件を満たす必要があります。
【対象となる被災世帯】
・災害により、自宅が半壊、大規模半壊、一部損壊の被害を受けていること
・応急修理によって、引き続き自宅に住むことができること
・応急仮設住宅等に入居していないこと
・一部損壊、半壊の場合、自ら修理する資力がないこと
住宅の応急修理制度について、詳細はお住まいの自治体ホームページで確認してください。
災害復興のため自宅を建設する際に利用できる、「災害復興住宅融資
災害復興住宅融資とは
自然災害で住宅に大きな被害を受けたとき、1日でも早く災害復興に向けて住まいを整えたいものです。その際、被災した住宅を復旧するために利用できる住宅ローンがあります。それが、住宅金融支援機構が実施する「災害復興住宅融資」です。
災害復興住宅融資は、住宅が全壊・大規模半壊または半壊の罹災証明書を受けた人が、自宅を復旧するための建設資金あるいは購入資金を準備するために利用できる融資です。
災害復興住宅融資を利用するための要件とは
この制度は住宅のみに適用されます。セカンドハウスには利用できません。
また、年収に占めるすべて借入金の年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、次の条件を満たす必要があります。
・年収400万円未満:総返済負担率が30%以下
・年収400万円以上:総返済負担率が35%以下
※総返済負担率(%)
=(年間返済額/12)÷(融資申込本人の年収+収入合算者の年収/12)×100
融資の申込期間は、被災日から2年間となっています。
参照:災害復興住宅融資のご案内
https://www.jhf.go.jp/files/100166098.pdf
災害復興住宅融資の金利はどのくらい?
災害復興住宅融資の金利は、2020年4月16日時点では以下です。
【住宅の建設・購入資金の金利】
基本融資額は年0.36%、特例加算額は年1.26%
【住宅の補修資金の金利】
年0.36%
なお、金利は原則として毎月見直しがあります。都度、住宅金融支援機構ホームページで確認してください。
参照:住宅金融支援機構「金利情報」
https://www.jhf.go.jp/loan/kinri/index.html#saigai
災害復興住宅融資の融資限度額は?
また、この融資には融資限度額が設定されています。
・住宅を建設する場合?
【基本融資額】
・建設資金:1,680万円
・土地取得資金:970万円
・整地資金:450万円
【特例加算額】※建設資金に利用可能
・520万円
・住宅を購入する場合?
【基本融資額】
・建設資金:2,650万円
※購入住宅の敷地の権利を取得しない場合の限度額は1,680万円となります。
【特例加算額】
・520万円
参照:住宅金融支援機関「東日本大震災で被災した住宅を復旧するための災害復興住宅融資のお知らせ」
https://www.jhf.go.jp/files/300194439.pdf
災害復興住宅融資は通常の住宅ローンと同様に、毎月返済していくものです。利用の際は、家計の状況と照らし合わせながら、無理のない範囲で返済計画を立てることをおすすめします。住宅金融支援機構ホームページでは、毎月の返済額を確認できる「災害復興住宅融資シミュレーション」のページがありますので、ぜひ活用してください。
参照:住宅金融支援機構「災害復興住宅融資シミュレーション(東日本大震災)」
https://www.simulation.jhf.go.jp/saigai/simulate01.php
参照:災害復興住宅融資のご案内
https://www.jhf.go.jp/files/100166098.pdf
災害による家屋の被害には支援制度の活用を
今回は、自然災害で被害を受けてしまったときに利用できる3種類の公的支援制度についてお伝えしました。被災していちばん困るのは家とお金です。大事な家とお金を支援してくれる「被災者生活再建支援制度」「住宅の応急修理制度」「災害復興住宅融資」のことを頭におき、万が一の際に利用できるようにしましょう。?
前佛 朋子 ファイナンシャルプランナー 整理収納アドバイザー1級
2006年11月よりライターとしてメルマガ、WEBコラムの執筆を手がける。2012年3月に2級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)を取得、2020年2月にCFPR認定者となる。得意分野は家計見直しとライフプラン。節約、家計、終活、介護、不動産、ペット保険などに関する記事を複数の大手メディアで執筆。株式会社アイ・イーシー『図解でわかる100シリーズ 人生100年時代の働き方とお金の知識100』通信教育テキスト(共著)なども手がける。

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