
不動産コラム
空き家売却の最適解は?損しない売り方と3000万円控除について解説
実家を相続したものの住む予定がなく、空き家の管理や固定資産税の負担に悩んでいませんか。思い出の詰まった家を手放すのは寂しいものですが、人が住まない家は急速に劣化し、資産価値も下がり続けてしまいます。さらに、放置すれば「特定空き家」に指定されて税金が跳ね上がったり、近隣トラブルの原因になったりと、リスクは増すばかりです。 この記事では、初めて空き家を売却する方に向けて、損をしないための最適な売り方や手続きの流れ、必ず知っておくべき税金の特例について解説します。読み終わる頃には、あなたの状況に合った売却方法が見つかり、具体的な一歩を踏み出せるようになります。
空き家を売却する4つの方法とは?

空き家を売る方法は一つではありません。建物の状態や立地、そして「少しでも高く売りたい」のか「とにかく早く手放したい」のかによって、選ぶべき手段が変わります。ここでは代表的な4つの売却方法について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
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そのまま売却する「古家有り土地・中古住宅」
一つ目は、建物を解体せずにそのままの状態で売却する方法です。建物がまだ新しく十分に住める状態であれば「中古住宅」として、老朽化が進んでいる場合は「古家有り土地」として売り出します。この方法の最大のメリットは、売主が解体費用を負担しなくて済むことです。買主がリノベーションを前提に購入する場合や、自分で解体して新築を建てたいと考えている場合に需要があります。また、建物が残っていることで、土地に対する固定資産税の軽減措置が継続されるため、売れるまでの維持費を抑えられるという利点もあります。
| 項目 | 中古住宅として売却 | 古家有り土地として売却 |
|---|---|---|
| 対象 | 築20年以内で状態が良い物件 | 築20年超で老朽化した物件 |
| メリット | 解体費用不要、建物価値が評価される | 解体費用不要、固定資産税が安いまま |
| デメリット | 契約不適合責任のリスクがある | 解体費分だけ値引き交渉されやすい |
| 向いている人 | 建物が綺麗で少しでも高く売りたい人 | 解体費をかけずに売りたい人 |
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建物を解体して「更地」として売る
二つ目は、売主の費用負担で建物を解体し、何もない更地の状態で売却する方法です。建物がボロボロで再利用が難しい場合や、シロアリ被害などがある場合は、解体してしまったほうが買い手がつきやすくなります。買い主にとっては、購入後すぐに新築工事に着手できるうえ、解体費用の見積もりや手配の手間が省けるため、土地としての魅力が高まるからです。
ただし、解体には木造住宅でも100万円単位の費用がかかるうえ、解体後に年をまたいで売れ残ってしまうと、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがある点には注意が必要です。
不動産会社に直接売る「買い取り」
三つ目は、不動産会社に仲介を依頼して一般の買主を探すのではなく、不動産会社そのものに買い取ってもらう「買い取り」という方法です。仲介の場合は買い手が見つかるまで数カ月から半年以上かかることもありますが、買い取りなら価格さえ合意すれば最短数日で現金化できます。
また、室内の片付けが不要だったり、売却後の契約不適合責任(不具合に対する責任)が免除されたりと、売主の手間や精神的負担が極端に少ないのが特徴です。その反面、売却価格は市場相場の7割~8割程度になってしまうことが一般的ですので、価格よりもスピードや楽さを優先したい方向けの選択肢と言えます。
自治体が運営する「空き家バンク」
四つ目は、各自治体が運営している「空き家バンク」に登録して買い主を探す方法です。これは、空き家を売りたい人と、田舎暮らしなどを希望して空き家を買いたい人を自治体がマッチングさせる制度です。自治体はマッチングまでをサポートし、その後は民間の不動産業者が仲介を行うため仲介手数料は発生しますが、基本的に自治体は交渉の間に入ってくれません。
市場価値が低く、通常の不動産会社では扱ってもらえないような田舎の物件でも、この方法なら買い手が見つかる可能性があります。
空き家売却の具体的な流れは?
実際に売却を進めるとなった場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。全体像を把握しておくことで、焦らずスムーズに進めることができます。ここでは、不動産会社への相談から物件の引き渡しまでを4つのステップで解説します。
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不動産会社への査定依頼と価格把握
最初に行うのは、自分の空き家がいくらで売れそうかを知るための査定依頼です。不動産ポータルサイトの一括査定サービスなどを利用して、複数の不動産会社に査定を申し込みます。机上査定(簡易査定)でおおよその相場を掴んだら、実際に現地を見てもらう訪問査定を依頼し、より正確な査定額を出してもらいます。この際、査定額の高さだけで選ぶのではなく、その根拠や「この価格なら3カ月以内に売れる」といった販売戦略の説明も聞き、信頼できるパートナーを見極めることが重要です。
| ステップ | 行うこと | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1.査定依頼 | 複数社に依頼し相場を把握する | 1週間〜2週間 |
| 2.媒介契約 | 依頼する会社を決め契約を結ぶ | 数日 |
| 3.売却活動 | 広告掲載や内覧対応を行う | 3カ月〜6カ月 |
| 4.売買契約 | 買主と契約し手付金を受け取る | 数日 |
| 5.決済・引渡 | 残代金受領と登記移転を行う | 売買契約後1カ月〜2カ月 |
媒介契約の締結と売り出し開始
売却を依頼する不動産会社が決まったら「媒介契約」を結びます。媒介契約には、1社だけに依頼する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」と、複数社に同時に依頼できる「一般媒介契約」の3種類があります。空き家が遠方にある場合や、鍵の管理を任せたい場合は、報告義務などがしっかりしている専任系の契約が適しています。契約締結後、不動産会社はレインズ(指定流通機構)への登録やポータルサイトへの掲載を行い、購入希望者を募る売却活動をスタートさせます。
売買契約の締結と手付金の受領
購入希望者が現れ、価格や引き渡し時期などの条件交渉がまとまれば、いよいよ「売買契約」を締結します。売主と買主が対面し、重要事項説明の読み合わせや契約書への署名捺印を行います。このタイミングで、買主から物件価格の5%〜10%程度の手付金を受け取ることが一般的です。売買契約書には、万が一契約が解除になった場合のペナルティや、物件の設備・状態に関する告知事項などが詳細に記載されますので、内容をよく確認する必要があります。
決済と物件の引き渡し
売買契約から1カ月〜2カ月後を目処に、最後のステップである「決済」と「引き渡し」を行います。銀行などの金融機関に売主、買主、不動産会社、司法書士が集まり、残りの代金の支払いと所有権移転登記の手続きを同時に実行します。固定資産税の精算や仲介手数料の支払いもこの日に行います。すべての手続きが完了したら、空き家の鍵を買主に渡し、無事に売却完了となります。
売却にかかる費用と税金はいくら?
空き家を売るとお金が入ってきますが、一方で諸費用や税金も発生します。売却価格がそのまま手元に残るわけではないため、あらかじめどのくらいの出費があるのかを把握しておくことが大切です。ここでは主な費用項目と目安について解説します。
仲介手数料や印紙税などの諸費用
不動産会社を通じて売却が成立した場合、成功報酬として「仲介手数料」を支払います。これは売却にかかる費用の中で最も大きな割合を占めるもので、法律で上限が決まっています。例えば、売却価格が400万円を超える場合の上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」です。その他、売買契約書に貼る「印紙税」や、抵当権抹消や住所変更が必要な場合の「登記費用」がかかります。
| 費目 | 概要と目安 | 支払うタイミング |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | (売却額×3%+6万円)+消費税 | 売買契約時と決済時に半金ずつ |
| 印紙税 | 契約書に貼る印紙代(1千万円超5千万円以下で1万円など) | 売買契約時 |
| 登記費用 | 住所変更や抵当権抹消(1〜3万円程度) | 決済時 |
| 測量費用 | 境界確定が必要な場合(30〜80万円程度) | 引き渡し前まで |
利益が出た場合にかかる譲渡所得税
空き家を売って利益(譲渡所得)が出た場合には、その利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」がかかります。利益とは単純な売値ではなく、売却価格から「その家を取得した時の費用(取得費)」と「売却にかかった費用(譲渡費用)」を引いた金額です。相続した実家の場合、親がその家を買った時の価格が取得費となりますが、古すぎて分からない場合は売却価格の5%を取得費とみなす計算方法(概算取得費)が使われます。所有期間が5年を超える場合の税率は約20%ですが、これが大きな負担となるため、後述する3,000万円控除などの特例を使うことが非常に重要になります。
解体費用や測量費用の目安
更地にして売る場合には、建物の解体費用が発生します。一般的な木造住宅の場合、坪単価3万円〜5万円程度が相場と言われますが、前面道路の幅が狭く重機が入りにくい場合や、残置物(家の中の荷物)が多い場合は割高になります。また、古い土地では隣地との境界が曖昧なケースが多く、売却にあたって土地家屋調査士による確定測量が必要になることがあります。この測量費用は数十万円単位になることも珍しくないため、売却活動を始める前に不動産会社と相談し、どちらが費用を持つかや測量の要否を確認しておくべきです。
3000万円特別控除を利用するには?

空き家売却で最も効果的な節税対策が「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「3,000万円特別控除」です。これは、要件を満たせば売却益から最大3,000万円を差し引くことができ、多くのケースで税金をゼロにできる強力な制度です。どのような場合に使えるのか、詳しく見ていきましょう。
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空き家特例の適用要件を確認する
この特例を利用するためには、いくつかの厳しい要件をすべてクリアする必要があります。まず、売却する家屋が「昭和56年5月31日以前に建築されたもの(旧耐震基準)」であることです。そして、親(被相続人)が亡くなる直前まで一人で暮らしており、相続後は売却時まで誰も住んでおらず、貸してもいない「完全な空き家」状態であったことが求められます。さらに、売却代金が1億円以下であることや、親子や夫婦間での売買ではないことなども条件となります。
| 要件カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|---|
| 建物 | 昭和56年5月31日以前の建築、区分所有(マンション)でないこと |
| 居住状況 | 相続開始直前まで被相続人が一人暮らし(老人ホーム入居の例外あり) |
| 相続後 | 相続から売却まで空き家(事業・貸付・居住用に使っていない) |
| 売却時期 | 相続開始から3年経過する年の12月31日まで |
| 状態 | 耐震基準を満たすか、解体して更地にして引き渡すこと |
令和6年改正による要件緩和のポイント
この特例は令和5年度の税制改正により、使い勝手が大きく向上しました(適用は令和6年1月1日以降の譲渡から)。以前は、売買契約の時点で「耐震リフォーム済み」または「更地」になっている必要があり、売れるか分からない段階で解体費用を先出ししなければならないリスクがありました。しかし改正により、売却(譲渡)した後の翌年2月15日までに、買主側で耐震改修工事や解体工事を行えば特例が適用されるようになりました。これにより、現状有姿(そのままの状態)で売買契約を結び、特注で「買主が解体すること」を定めておけば、売主はリスクなく控除を受けられる可能性が広がりました。
確定申告に必要な書類と手続き
3,000万円控除は自動的に適用されるものではなく、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があります。手続きには、売買契約書のコピーや登記事項証明書などの一般的な書類に加え、自治体が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。この確認書は、その空き家が要件を満たしていることを証明する重要な書類で、取得には電気やガスの閉栓証明書や、解体後の閉鎖事項証明書などが求められます。確定申告の直前になって慌てないよう、売却が決まったら早めに管轄の自治体へ申請方法を問い合わせておくことをお勧めします。
空き家売却で注意すべきポイントは?

空き家の売却には、一般的な不動産売却とは異なる特有のリスクや注意点が存在します。知らずに進めると、法的な義務違反になったり、売却後にトラブルに巻き込まれたりする恐れがあります。ここでは特に重要な3つのポイントを押さえておきましょう。
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売却前の相続登記が義務化された
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知ってから3年以内に名義変更を行わなければならなくなりました。そもそも、亡くなった親の名義のままでは不動産を売却することはできません。売却活動を始める前提として、まずは自分(相続人)の名義に変更する「相続登記」を完了させる必要があります。兄弟で遺産分割協議がまとまっていない場合などは時間がかかるため、早めに司法書士に相談して手続きを進めることが不可欠です。
売主が負う契約不適合責任のリスク
「契約不適合責任」とは、売却した不動産に契約内容と異なる不具合(雨漏り、シロアリ、給排水管の故障など)が見つかった場合、売主が修理や損害賠償などの責任を負うというものです。空き家の場合、売主自身も住んでいないため、建物の見えない欠陥を把握しきれていないことがよくあります。引き渡し後にクレームになるのを防ぐためには、ホームインスペクション(建物状況調査)を実施して状態を明らかにしたり、契約書で「設備については免責とする」といった特約を結んだりする対策が必要です。古家有り土地として売る場合は、建物についての責任を一切負わない形にするのが一般的です。
特定空き家に指定されるリスク
「まだ売る決心がつかないから」といって空き家を放置し続けることには、大きなリスクが伴います。倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家は、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。指定され、自治体から改善の「勧告」を受けると、土地の固定資産税が最大6倍になる住宅用地の特例から外されるだけでなく、最終的には行政代執行による強制解体とその費用の請求が行われることもあります。資産価値が下がり続けるだけでなく、持っているだけで負債になりかねないため、使う予定がないのであれば早期の売却検討が賢明です。
信頼できる不動産会社の選び方は?
空き家売却の成功は、パートナーとなる不動産会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。しかし、コンビニよりも数が多いと言われる不動産会社の中から、良心的な一社を見つけるのは難しいものです。最後に、失敗しない会社選びのコツをお伝えします。
複数社への査定依頼で相場を知る
最初から一社に絞り込むのではなく、必ず複数の不動産会社に査定を依頼して比較検討してください。会社によって得意なエリアや物件種別が異なり、査定額に数百万円の差が出ることも珍しくないからです。また、複数の営業担当者と話をすることで、その地域のリアルな相場観や需要が見えてきます。「なぜこの価格になるのか」を論理的に説明し、メリットだけでなくデメリット(売りにくい理由など)も正直に話してくれる会社は信頼できる可能性が高いです。
空き家売却の実績と担当者の対応力
空き家の売却には、解体や残置物撤去、相続登記、税金特例の知識など、通常の売却以上に幅広いノウハウが求められます。そのため、ホームページなどで「空き家相談」や「相続案件」の実績が豊富かどうかを確認しましょう。また、担当者の対応スピードや誠実さも重要な判断基準です。あなたの事情に寄り添い、単に「売りましょう」と急かすのではなく、「まずは特例が使えるか調べましょう」「解体見積もりを取りましょう」と具体的な提案をしてくれる担当者であれば、安心して任せることができるでしょう。
この記事のまとめ
この記事の要点をまとめます。
- 売却方法は、建物の状態や優先順位(価格かスピードか)に合わせて「そのまま」「更地」「買い取り」から選ぶ。
- 相続した空き家を売るなら、最大3,000万円の控除が受けられる特例の要件(昭和56年以前築など)を必ず確認する。
- 名義変更(相続登記)は義務化されており、売却の前提条件となるため、未済の場合は早急に着手する。
空き家の売却は、単なる資産の処分ではなく、親族間の思い出や感情の整理でもあります。手続きや税金の話は複雑で気が重くなるかもしれませんが、一つ一つ整理していけば必ず解決策は見つかります。まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、現状の価値を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
空き家売却をお考えでしたら、まずは無料査定にお申し込みください。 訪問査定のほか、机上で概算価格がわかる簡易査定も選択可能です。 売却方法は仲介だけでなく、買い取りの希望も出せます。 当社WEBサイトよりお気軽にご相談ください。

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