
不動産コラム
相続不動産売却の流れは?手続きの手順や税金・特例をやさしく解説!
親が大切にしていた実家を相続したものの、自分は住む予定がないため売却を検討している方は多いのではないでしょうか。しかし、いざ売却しようとすると「何から始めればいいのか」「税金で損をしないか」と不安になるものです。この記事では、相続不動産をスムーズに売却するための手順や、知っておくべき税金・節税の特例についてわかりやすく解説します。読み終わる頃には、複雑に見える手続きの全体像が整理され、次の一歩を自信を持って踏み出せるようになります。
相続不動産を売却する流れとは?
相続した不動産を売却するためには、通常の不動産売却とは異なり、事前の準備や手続きが必要です。いきなり不動産会社に査定を依頼するのではなく、まずは正しい手順を理解して計画的に進めることが成功の鍵となります。ここでは、相続発生から売却完了、その後の申告までの一連の流れを解説します。
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全体像を把握するための6ステップ
相続不動産の売却は、大きく分けて6つの段階で進行します。全体の流れを頭に入れておくことで、今やるべきことと次に必要な手続きが見え、焦らずに対応できるようになります。以下の表に基本的なフローをまとめましたので、まずは全体像を確認してください。
| ステップ | 行うこと | 概要 |
|---|---|---|
| 1 | 調査・確認 | 遺言書の有無を確認し、相続人と相続財産を特定する |
| 2 | 遺産分割協議 | 誰が不動産を引き継ぐか(または売却して現金を分けるか)を決める |
| 3 | 相続登記 | 不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する |
| 4 | 売却活動 | 不動産会社と契約し、買主を探して売買契約を結ぶ |
| 5 | 決済・引き渡し | 代金を受け取り、不動産を買主に引き渡す |
| 6 | 確定申告 | 売却で利益が出た場合、翌年の2月16日〜3月15日に申告する |
この流れの中で特に重要なのが、ステップ3の「相続登記」です。不動産を売るためには、まず自分たちの名義に書き換える必要があり、これを飛ばして売却活動を進めることはできません。
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遺言書の確認と相続人の調査
最初に行うべきことは、亡くなった方(被相続人)が遺言書を残しているかどうかの確認です。遺言書があれば、原則としてその内容に従って遺産を分けることになるため、遺産分割協議の手間が省ける場合があります。遺言書がない場合は、誰が相続人になるのかを確定させるために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集める必要があります。これは非常に手間のかかる作業ですが、相続人を一人でも欠いた状態で進めた遺産分割協議は無効になるため、漏れなく調査することが重要です。
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遺産分割協議で取得者を決める
相続人が確定したら、全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。不動産を売却する場合、どのように分けるかには主に3つの方法があります。
第一に「現物分割」です。これは不動産を特定の誰か一人がそのまま相続する方法で、手続きはシンプルですが、他の相続人との不公平感が出やすい側面があります。
第二に「換価分割」です。不動産を売却して現金化し、その現金を相続分に応じて分ける方法です。公平に分けやすく「家はいらないから現金が欲しい」という相続人が多い場合に適しています。この場合、便宜上代表者の名義にして売却手続きを進めますが、遺産分割協議書には「換価分割のために代表者名義にする」旨を明記する必要があります。
第三に「代償分割」です。特定の相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に対して自分の財産から代償金を支払う方法です。実家を継ぎたい人がいる場合に有効ですが、取得者に十分な資金力が必要になります。
売却前に必要な名義変更(相続登記)とは?

不動産を売却するためには、登記上の所有者を亡くなった親から相続人へと変更する「相続登記」が不可欠です。所有者が亡くなった方のままでは、第三者への売却や抵当権の設定などの法律行為ができないからです。ここでは、相続登記の重要性と義務化のルール、手続きの概要について解説します。
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亡くなった人の名義では売却できない
不動産売却の契約は、登記簿上の所有者(名義人)しか行うことができません。たとえ遺産分割協議で「長男が相続する」と決まっていても、登記上の名義が親のままでは、不動産会社と媒介契約を結ぶことも、買主へ所有権を移転することも不可能です。そのため、売却を決めたら速やかに司法書士に依頼するなどして、名義変更の手続きを済ませる必要があります。特に「換価分割」で売却する場合でも、一度相続人の名義(代表者単独または共有)にするステップは省略できません。
2024年4月から始まった登記義務化
これまでは相続登記に期限はありませんでしたが、法律の改正により2024年4月1日から相続登記が義務化されました。具体的には、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由なくこの義務を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。また、過去に相続してまだ登記していない不動産についても、2027年3月31日までに登記する必要があります。「売却するから後でいいや」と放置せず、早めに手続きに着手することが法的にも求められています。
手続きに必要な書類と費用の目安
相続登記を自分で行うことも可能ですが、書類収集が複雑なため司法書士に依頼するのが一般的です。手続きには主に以下の書類が必要になります。
まず、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式と住民票の除票です。これらは相続人を確定させるために必須となります。次に、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、住民票です。これらは現在の相続人の本人確認と意思確認に使われます。そして、遺産分割協議書(実印を押印したもの)です。誰がその不動産を取得するかを証明する最重要書類です。最後に、対象となる不動産の固定資産税評価証明書と登記申請書です。
費用については、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)という税金と、司法書士への報酬(数万円〜10万円程度)がかかります。必要書類や費用は状況によって異なるため、まずは専門家に見積もりを依頼することをお勧めします。
相続不動産の売却にかかる費用と税金は?
不動産を売却すると、手元に入ってくるお金(売却代金)だけでなく、出ていくお金(費用・税金)も発生します。「思ったより手残りが少なかった」と後悔しないよう、事前にどのようなコストがかかるのかを把握しておきましょう。ここでは主な諸経費と、利益が出た場合にかかる税金の仕組みについて解説します。
売却時に発生する主な諸経費一覧
不動産売却には、売買契約時や引き渡し時にさまざまな諸経費がかかります。一般的に、売却価格の4%〜6%程度が費用の目安と言われています。主な項目は以下の表の通りです。
| 費用項目 | 概要と目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬。売却価格(物件価格)が400万円超の場合、(売却価格×3%+6万円)×1.1(消費税込み)が上限。 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る収入印紙代。契約金額により異なる(数千円〜数万円)。 |
| 登記費用 | 抵当権抹消や住所変更が必要な場合の司法書士報酬と税金。(数万円程度) |
| 測量費用 | 土地の境界が未確定の場合に行う測量費。(30万円〜80万円程度、土地の広さによる) |
| 解体費用 | 古家を解体して更地渡しにする場合にかかる費用。(木造住宅で坪3万〜5万円程度が目安) |
| 譲渡所得税 | 売却益が出た場合にかかる税金。確定申告で支払う。 |
特に大きな割合を占めるのが仲介手数料です。また、古い実家の場合、境界確定測量や残置物撤去(家財道具の処分)の費用がかさむケースが多いため、査定時にこれらの見積もりも確認しておくと安心です。
大和ハウスリアルエステートでは相続不動産の買い取りを積極的に行っています。買い取りであれば仲介手数料が不要なので、売却時の諸経費を抑えることが可能です。
利益が出た場合にかかる譲渡所得税
不動産を売って利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税がかかります。これを「譲渡所得税」と呼びます。ここで言う「利益」とは、単に売れた金額のことではありません。売却価格から、「取得費(その不動産を買った時の代金や諸経費)」と「譲渡費用(売る時にかかった仲介手数料など)」を差し引いた金額が譲渡所得となります。計算式は「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」です。もし、この計算結果がマイナス(損失)であれば、税金はかかりません。
親の所有期間を引き継ぐ長期譲渡所得
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって大きく異なります。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」として約39.6%、5年を超える場合は「長期譲渡所得」として約20.3%の税率が適用されます。相続不動産の大きな特徴は、この所有期間を「親が取得した日」から引き継げる点です。つまり、親が何十年も前に買った実家であれば、子どもが相続してすぐに売却しても「長期譲渡所得」の低い税率が適用されます。これは相続不動産売却における重要なメリットの一つです。
税金を安くするための控除・特例とは?

譲渡所得税は金額が大きくなりやすいため、国は相続に伴う負担を軽減するための特例を用意しています。条件に当てはまれば、税金を大幅に減らしたりゼロにしたりできる可能性があります。ここでは代表的な3つの特例について解説します。
相続税を費用にできる取得費加算の特例
「取得費加算の特例」とは、支払った相続税の一部を、譲渡所得の計算上の「取得費」に加算できる制度です。取得費が増えれば、その分だけ利益(譲渡所得)が圧縮されるため、結果として税金が安くなります。この特例を使うための主な条件は3つあります。第一に、相続や遺贈により財産を取得していること。第二に、その財産を取得した人に相続税が課税されていること。第三に、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日(つまり3年10ヶ月以内)までに売却することです。相続税を支払った人は、この特例が使えるかどうかを必ず確認しましょう。
実家を売る時の空き家3,000万円特別控除
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、相続した実家を売却した利益から最大3,000万円を控除できる制度です。適用されれば税額がゼロになることも多い強力な特例ですが、条件はやや厳格です。対象となる家屋は、昭和56年5月31日以前に建築されたもの(旧耐震基準)に限られます。また、マンションなどの区分所有建物は対象外です。さらに、売却時には「耐震リフォームをする」か「解体して更地にする」必要があります。売却期限は相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までとなっており、手続きには市区町村からの確認書が必要です。
自分が住んでいた場合のマイホーム特例
もし相続した実家に相続人自身が住んでいた場合は、通常の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が利用できます。これは空き家特例とは異なり、築年数の制限や耐震改修の要件がありません。売却益から最大3,000万円まで控除できるため、多くのケースで納税額が発生しなくなります。ただし、相続してから一度も住んでいない場合には使えないため、自分が置かれている状況に合わせて、空き家特例かマイホーム特例か、あるいは取得費加算の特例か、どれが最も有利かを検討する必要があります。
【関連記事】マイホームを売却した場合の「3,000万円の特別控除」の特例とは? |お知らせ|大和ハウスリアルエステート|大和ハウスグループ
大和ハウスリアルエステートでは提携税理士と「相続サポート」を提供しています。提携税理士に相続税について相談でき、当社が相続不動産売却の相談をお受けします。
相続不動産を売却する際の注意点は?

相続不動産の売却には、通常の売却にはない落とし穴がいくつか存在します。知らずに進めると、特例が使えなくなったり、親族間で揉めたりする原因になります。最後に、失敗を防ぐための重要な注意点を3つ紹介します。
特例を利用するために3年以内に売る
前述した「取得費加算の特例」や「空き家3,000万円控除」には、どちらも「約3年以内」という期限が設けられています。不動産の売却は、査定から引き渡しまで半年以上かかることも珍しくありません。「いつか売ればいい」と先延ばしにしていると、期限ギリギリになって焦って安売りすることになったり、期限を過ぎて特例が使えず高額な税金を払うことになったりします。節税のメリットを享受するためには、相続手続きが終わったら速やかに売却の検討を始めることが大切です。
共有名義で売るなら全員の同意が必須
遺産分割で不動産を兄弟などの共有名義にした場合、売却するには共有者全員の同意と署名捺印が必要です。一人でも反対する人がいると、売却することはできません。また、売り出し価格や条件について意見がまとまらず、売却のタイミングを逃してしまうこともよくあります。将来売るつもりなら、安易に共有名義にせず、換価分割の手続きをとるか、代表者が単独で相続してから代償金を支払う形にする方が、権利関係がシンプルでトラブルを防ぎやすくなります。
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取得費が不明な場合の税負担リスク
先祖代々の土地や古い実家の場合、購入当時の契約書が見つからず、「いくらで買ったか(取得費)」が分からないことがあります。この場合、売却価格の5%しか取得費として認められない「概算取得費」を使わなければならないルールがあります。例えば3,000万円で売れた場合、取得費は150万円とみなされ、残りの2,850万円近くが利益として課税対象になってしまうのです。税負担が非常に重くなるため、古い権利証、通帳の出金履歴、当時のパンフレットなど、購入額を証明できる資料がないか徹底的に探すことが重要です。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- 相続不動産売却は、遺言確認・遺産分割・相続登記・売却活動・確定申告の順に進む。
- 売却益が出た場合は、親の所有期間を引き継いだ税率で譲渡所得税が計算される。
- 取得費加算の特例や空き家3,000万円控除を利用するには、相続開始から約3年以内の売却が目安となる。
相続した不動産を売却することは、単なる資産の処分ではなく、親族間の資産整理や精神的な区切りをつける大切なプロセスです。期限や手順を守り、使える特例を賢く利用することで、手元に残る資産を最大化できます。まずは手元の資料を確認し、相続登記の準備から始めてみてはいかがでしょうか。
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