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住宅ローンを利用して
2軒目の住宅は購入できる?
週末や平日に過ごすため、
または遠方の大学に通う子どものために、
2軒目の住宅購入を検討している方も
いるのではないでしょうか?
そうした場合、2軒目の住宅を購入するために
住宅ローンは利用できるのでしょうか。
また転勤や介護など、やむを得ない理由で
自宅からの通勤が困難になり、
住むことができなくなった場合でも、
住宅ローンを利用して2軒目を
購入できるのでしょうか。
今回は住宅ローンを使用した
2軒目の住宅購入について解説します。
原則、住まなくなった住宅の住宅ローンを継続することはできない!?
住宅ローンは「自ら居住するための住宅の新築、購入、建て替え等を目的としたローン」です。そのため、原則、生活の拠点以外の住宅購入に利用することはできません。例えば不動産投資のように他人に貸すための住宅購入には利用できません。
住宅ローンを借りる際に金融機関と締結する「金銭消費貸借契約書」では、「自ら居住」が原則のため、住宅ローンを利用して購入した1軒目の住宅に住まなくなった場合は、そのローンを自己資金で完済するか、売却してその資金で完済する必要があります。
もし、住宅ローンを利用して居住しない住宅を購入したことが金融機関に判明すれば、契約違反としてローンの一括返済を求められます。
セカンドハウスローンを利用するという選択肢
では、生活拠点は自宅のままで「セカンドハウスとして週末を過ごすための住宅」や「遠方の学校に通う子どものための住宅」に住宅ローンを利用する場合はどうでしょう。
この場合は、フラット35や一部の金融機関では、住宅ローンと同じような商品として「セカンドハウスローン(親族居住用住宅ローン)」が利用できます。
一般的な住宅ローンより条件は少し厳しくなりますが、2軒目の住宅購入でも利用することが可能です。
セカンドハウスローンを利用するには、以下のような条件が必要となります。
1. 返済能力
2. 居住要件
3. 面積要件
それぞれについて詳しく解説します。
1.返済能力
従前の住宅ローンに加えて、セカンドハウスローンを利用すると「ダブルローン(ローン2つ分の返済)」となるため、返済の負担が大きくなります。そのため、セカンドハウスローンを借りるための審査では、増加した負担に耐えるだけの「返済能力」の基準をクリアすることが条件となります。
返済能力は「返済比率」という年収に対する年間の返済額の割合で算出されます。
例えば、フラット35では「年収400万円以上は返済比率35%以下」という基準があるため、年収500万円の人の場合、金利が年利1.29%、返済期間35年のとき、最大約4,900万円まで借り入れが可能になります。
従前の住宅ローンも同じ金利で3,000万円借りていたとすると、あと1,900万円は新たなローンを借りることができるということになります。
ただし、自動車ローンや学資ローンなどを借りている場合はその分の返済も加味されるため、借り入れできる金額はその分減少します。
2.居住要件
親族居住用住宅ローンの場合は、子や親など親族が生活の拠点として居住すること、セカンドハウスローンの場合は、自分や家族が週末などを過ごすための住宅を購入することが居住要件となっています。
また、自宅が勤務先から遠い場合などは、平日の拠点として勤務先の近くなどに購入する場合もセカンドハウスローンの対象となります。
親族居住用ローンやセカンドハウスローンの居住要件は意外とハードルが低いのですが、税金上のセカンドハウスと認められるためには、月1回以上生活拠点として使用していることが必要です。
税務上のセカンドハウスと認められると、固定資産税や都市計画税が優遇されるので、この点は知っていたほうがいいでしょう。
3.面積要件
住宅ローンを利用するには、金融機関ごとに面積要件があります。ワンルーム投資に利用されることなどを避けるためという側面もあり、25m2以上や30m2以上といった住宅ローンを使用できる最低面積が決まっています。セカンドハウスローンなども同様なので、ローンが利用できる面積についても注意が必要です。大きくは上記の条件をクリアできれば、セカンドハウスローンなど2軒目の住宅ローンを利用できます。ただし2軒目の場合は、住宅ローン控除は適用されません。
次に「遠方への転勤や親の介護で実家に戻る」など、明らかに現在の自宅に居住できないケースではどうでしょうか。
こうしたケースでは、事由がやむを得ないと金融機関が判断して許可した場合に限り、1軒目の住宅ローンをそのままの条件で借り続けることができます。また、このときは返済の負担を考慮し、金融機関によっては1軒目を賃貸として貸し出すことが可能になることもあります。
ではこうした状況のとき、住宅ローンを利用して2軒目の住宅を購入できるのでしょうか。この場合は、1軒目を賃貸住宅としていることも審査で見られるため、「今回も賃貸住宅として貸し出すのではないか」と疑われ審査が厳しくなります。そのため、利用できる金融機関は限られますが、きちんとやむを得ない事由であることが認められれば通常の住宅ローンを借りられることがあります。
このように、本来の条件とは異なった(自らは居住していない)状況のまま1軒目の住宅ローンを残して2軒目の住宅ローンを借りるのはハードルが高くなりますが、金融機関によっては可能な場合もあります。まずは今借りている金融機関に相談し、その後2軒目で利用する金融機関に相談することが必要です。
まとめ
2軒目の住宅を購入する際、「セカンドハウスローン」などの商品を利用できる可能性があります。その場合はダブルローンとなるため、返済について慎重に検討することが必要です。返済に問題がないということであれば、2軒目をセカンドハウスローンなどの住宅ローンを利用して購入することを検討してみてもよいでしょう。
特に、2軒目として賃貸住宅を借りることを検討しているものの、家賃支払を見直したいと感じる方にとっては、より検討の価値があると言えます。
執筆者:秋津 智幸 不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
横浜国立大学卒業後、神奈川県住宅供給公社に勤務。その後不動産仲介会社等を経て、独立。
現在は、自宅の購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う。その他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。
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