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マンションの大規模修繕とは

マンションの建物は、区分所有者全員で共有する
「共用部分」と区分所有者が所有する
「専有部分」に分かれています。
建物の共用部分は区分所有者全員で
共有しているため、区分所有者全員で構成する
管理組合で管理し、
計画的に修繕を行っていきます。
一般的に分譲マンションでは、
新築で販売される時点で、建物の修繕について
計画が策定されていることがほとんどです。
建物修繕の中でも外壁や屋上、階段、
オートロック、エレベーターといった
共用部分をまとめて修繕するものを
大規模修繕(工事)と呼びます。
ここでは、大規模修繕とは
どういったものなのかご紹介していきます。

大規模修繕(工事)とは、
マンションの経年劣化に伴う建物や
設備をまとめて修繕する(工事の)
ことをいいます。

具体的には、足場を設置する必要があり大規模な工事となる外壁や屋上、共用部分でありながら工事中は一時的に使用を制限する必要がある専用使用されているベランダやポーチ、サッシ(窓)、日々使用するエントランスや廊下、機械式駐車場やエレベーターなど設備も含めた共用部分が対象になります。

いつどの部分を修繕(工事)するかは、マンションごとに異なり、原則として策定された長期修繕計画に基づいて行われます。なお、長期修繕計画では、大規模修繕工事以外にも耐用年数や修繕の必要性、緊急性に応じた小修繕や日常修繕も策定されています。

また、大規模修繕工事中は、入居者の普段の生活に少なからず支障が出ることもあって、工事そのものは工程を組んで計画的に行われます。

入居者の生活にかかわる修繕箇所として代表的なものは、外壁補修や屋上防水、鉄部塗装、給排水管の取り替えといった建物部分のほか、エレベーターの補修・更新、機械式駐車場の補修、オートロックの更新などの付属設備の修繕があります。

大規模修繕(工事)は、長期修繕計画が策定されているマンションでは「おおよそ竣工後または前回の大規模修繕後10~13年で実施されるケース」が多くなっています。

特に、平成20年4月の建築基準法施行規則の改正により、特定行政庁が指定する建築物の所有者、管理者は、定期的に有資格者である専門家による調査・検査後、報告することが義務付けされました。

出展:建築物等の定期調査・検査について|国土交通省 住宅局

大規模修繕後10年~13年で
実施される背景

マンションは指定建築物にあたるため、竣工または外壁改修から10年経過後(3年以内に調査・報告することが確実な場合は例外として10年経過しても問題なく、結果として13年以内)に、外壁の全面打診を実施・報告をしなければならないとされています。

そのため、調査の時期に合わせて大規模修繕工事を実施する方が費用や作業面で効率的なので、竣工後または前回の大規模修繕後10~13年で実施されるケースが多くなってきたという経緯があります。

最終的には管理組合の判断に

ただし、大規模修繕工事の内容や実施時期を最終的に判断するのは、そのマンションの区分所有者で構成される管理組合です。マンションの実態(劣化の進行状態や不具合の発生状況など)に合わせて、大規模修繕(工事)の内容と実施時期を組合の総会で決定します。

規模の小さなマンションであれば、管理組合の理事会を中心に、見積りを徴収して工事発注先候補の選定や実際の大規模修繕の内容、実施時期をある程度絞り込んで、管理組合総会にはかり、決定します。

規模が大きなマンションになると、管理組合の理事会とは別に大規模修繕委員会など専門の組織を組成して、必要であれば専門のコンサルタントと契約して大規模修繕の準備から始まり実施、完了までを理事会と共に担います。

なお、大規模修繕工事にかかる期間は、マンションの規模や修繕内容によって差があります。小規模なマンションであれば、1ヵ月程度で完了することもありますが、規模によっては数カ月〜1年以上かかることもあります。

例えば、少し前の事例ではありますが、日本で初めての高さ150 m を超えるタワーマンションとして有名な「エルザタワー55」(埼玉県川口市)では、大規模修繕工事の完了まで2年を要しています。

大掛かりな工事となるため、費用も高額で修繕箇所にもよりますが、戸数が50戸前後で7階建て程度の低層マンションでも、1回の大規模修繕(工事)で3,000万円~5,000万円程度の費用がかかるのが一般的です。

規模が大きくなれば、その分修繕箇所も増え、工事の難易度も高くなる傾向があるので、費用が億単位を超えることも珍しくありません。

タワーマンションの場合

タワーマンションになると、さらに費用が高額になります。例えば、前出の「エルザタワー55」で2015年から行われた大規模修繕では、その費用は12億円(1住戸あたり約200万円)と公表されています

大規模修繕の費用は、基本的に区分所有者が毎月支払う修繕積立金で賄いますが、資金が十分でない場合は
 ①工事個所を減らすまたは仕様を下げる
 ②一部の工事実施時期を先延ばしする
 ③区分所有者全員から一時金を徴収して不足する資金を集める
といった形で対応します。

出典:55階建てタワーマンションの大規模修繕工事が開始、その難しさとは|SUUMOジャーナル

築年数が古いマンションの場合

マンションの築年が古くなると、建物本体の劣化も進み、付属の設備も耐用年数によっては修繕に使用する部品の調達が難しくなってきます。そのため、建物の補修箇所も増えると同時に更新(新しく入れ替える)が必要な設備も増え、回を重ねるごとに大規模修繕費用が高くなる傾向があります。

それに伴う大規模修繕費用の増加に備えるために、マンションの築年が古くなるに従って毎月の修繕積立金が高くなっていきます。

マンションの大規模修繕工事期間中は、入居者の普段の生活にも少なからず支障が出てきます。代表的なものは以下の通りです。

外壁工事のための足場や囲いの
設置によるもの

  • ベランダや玄関ポーチに物が置けない
  • 網戸や物干し竿などは外して室内に保管しなければならない
  • 洗濯物が干せる日が制限される
  • 足場が設置されたことで日差しが入らなくなる
  • 廊下の通行が部分的に制限される

配管や付属設備の補修・更新によるもの

  • 駐車場、駐輪場の利用が制限される
  • 一時的にオートロックが使用制限される
  • エレベーターが使用できない期間がある
  • 一時的な断水や排水規制がある

その他、大規模修繕工事中に気を付けなければならないこととして、以下のようなものがあります。

○防犯対策

大規模修繕工事中は、工事関係者をはじめ外部の人がマンション内を行き来しますが、不審者が紛れこまないとも限りません。在宅していても玄関や窓を施錠する、現金・貴重品は一時的に貸金庫や実家など預けるなどして、普段よりも防犯対策をしっかりとするようにしましょう。

○熱中症対策

外壁補修のため、建物全体が囲いで覆われると、窓を閉め切る必要があります。そのため、大規模修繕工事が夏など気温の高い時期に行われる場合は、熱中症対策も必要になります。

○騒音対策

マンション内で工事が行われるため、工事に伴う騒音が発生します。基本的に早朝や夜間に工事は行われませんが、特に乳幼児がいる家庭では日中在宅する場合に備え、1部屋に遮音カーテンをつけたり、窓に遮音シートを貼ったりすることを検討する必要があるでしょう。

大規模修繕とマンション売買

大規模修繕(工事)は、分譲マンションであれば長期修繕計画に従って定期的に実施されます。実施のタイミングによっては、マンションを購入あるいは売却する際にも影響があります。

例えば、大規模修繕工事中は、どうしても見た目が悪く、売却にあたって見学するタイミングには適していません。そのほか、大規模修繕のために一時金が必要なケースでは、売却あるいは購入のタイミングでその一時金が買主の負担となり、余計な費用に感じられて売れ(買い)にくくなることもあります。

それでも大規模修繕(工事)は、マンションにとっては必要不可欠で、内容によってはマンションが生まれ変わるものです。
大規模修繕について理解しておけば、売却のタイミングを計ることもできますし、逆に購入する側は今後マンションの設備等が良くなるとして理解しておくとよいでしょう。

まとめ

大規模修繕(工事)はマンションの建物を維持し、ひいては自分の所有するマンションの資産価値を維持する大事なものです。大規模修繕の実施前や実施中は、面倒なことや不便なこともありますが、その大切さや内容を理解し、工事に協力するようにしましょう。

執筆者:秋津 智幸 不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

横浜国立大学卒業後、神奈川県住宅供給公社に勤務。その後不動産仲介会社等を経て、独立。
現在は、自宅の購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う。その他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。

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