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マンション査定はブラックボックス?!プロの見方をご紹介します!

マンションを売却する時、
まず不動産仲介業者にお願いするのが
マンション査定。
「買った当時は高かったけど、何年も前の話で、
今の相場はどれくらいになっているのか?」と
気になりますよね。
中古マンションの相場をどのように把握し、
査定するのか、プロの見方をご紹介します。
1.マンション査定はブラックボックス?
不動産のプロ以外の方が、マンション査定を人生で何度も経験されるということはなかなか少ないと思います。それだけにマンション査定に対する不安は大きいのではないでしょうか?
金額が大きいだけに、少しの違いが何十万円、何百万円の差になるかもしれない。そのような不安はよくわかります。
日常でなじみのある査定では、中古ゴルフクラブやブランドものの買取サービスなどでしょう。筆者も中古ゴルフクラブの買取をたまに利用します。店に行く前には、本体を布で拭いて、なるべくキレイに見えるようにして持っていきます。店員に預けると、型番をチェックして、具合の悪いところはないかチェックしたあと、おもむろにパソコンのキーボードを叩いてモニターを見て、査定結果を教えてくれます。
結果は500円。良くて2,000円、最悪は買取り不可と予想していたのが、中途半端に安い金額を聞いて、恥ずかしさから、なぜそんな査定になるのか聞くことも、交渉することもなく、査定額で売却してしまいます。
おそらく、リサイクルショップのパソコンには中古ゴルフクラブの販売状況や在庫状況がリアルタイムで把握できるシステムが入っていて、店員が型番や使用感を入力すると買取額の目安がわかるのだと想像しますが、客側は当然、そのシステムを見ることも利用することもできません。いわばブラックボックスのようです。
ゴルフクラブと違い、マンションは桁違いに高額です。人生でそう何度も経験することのないマンション査定の中身が不透明では、不安になるのも当然です。
2.マンション査定の実態

それでは、マンション査定は実際、どのように行われているのでしょうか。具体的なマンション査定の手順をご紹介する前に、マンション査定の特徴を整理しておきます。
マンション査定の大きな特徴は、たとえ同じマンションでも同じ査定額になることはないということです。同じ一棟内のマンションであっても、フロアや位置、間取り、面積などが異なるため、同じものとして査定することはできません。これは不動産全般に当てはまる特徴で、「不動産の個別性」といわれています。
また、査定する不動産仲介業者が買い取るわけではありませんので、販売状況や在庫状況をリアルタイムで把握することもできません。
マンション査定の考え方
マンション査定には、さまざまな考え方や方法があります。
原価方式・比較方式・収益方式
1つ目は、新築マンションであることを想定し、築年数や実際の使用状況に応じたマイナス分を考慮する方法で「原価方式」と呼ばれます。
2つ目は、たくさんの中古マンション取引の中から、似たような中古マンションの取引価格と比較する方法で「比較方式」と呼ばれます。
3つ目は、貸した場合あるいは実際に貸している場合の賃料から計算する方法で、「収益方式」と呼ばれます。不動産仲介業者が行う中古マンションの査定では、比較方式が使われることが一般的です。
机上査定・訪問査定
そのほか、査定には「机上査定」と「訪問査定」があります。机上査定はざっくりとした相場を把握したい時、訪問査定は実際に部屋の中まで調査した上で、実際の売り出し価格を決める時に利用されます。
比較方式を使った「価格査定マニュアル」とは?
さて、実際のマンション査定ですが、不動産会社向けに提供されている「価格査定マニュアル」のシステムが利用されていることが多いようです。「価格査定マニュアル」では、中古マンションは比較方式(価格査定マニュアルでは「事例比較方式」と呼ばれる)で査定されます。
このシステムでは、中古マンションに評点を付けます。評点は、交通(最寄りの駅やバス停などから徒歩何分か)、住戸位置(所在階、方位など)、耐震性、室内の維持管理状況などを採点し、100点を基準に加減します。システムには過去に査定・取引された中古マンションの情報が蓄積されており、似たようなマンションの評点と比較評価して、査定価格を算出します。
「価格査定マニュアル」は評価項目が決められているため、ある程度画一化した査定になりますが、各項目には評価担当者の主観や印象によるところも多くあります。
例えば、室内の維持管理状況が「普通」を0として、「特に優れる」「優れる」「やや優れる」「やや劣る」「劣る」「悪い」と評点が配点されているとすれば、「優れる」と「やや優れる」の違いは明確ではありません。
また、実際の取引市場においては評点の正確性を証明することが不可能なため、「価格査定マニュアル」の各項目の評点は、いわば何となく感覚的に設定されたものです。
つまり、不動産の個別性があるがゆえに、室内の維持管理状況が「優れる」と「やや優れる」であった場合に、実際いくらの価格差が発生するかは確かめようがありません。そうなると、査定価格とはいったい何の価格なのか、考えさせられてしまいます。
3.「査定を高く」しても「高く売れる」わけではない

マンション査定の査定価格を高くする簡単なコツがあります。訪問査定では、とにかく評価担当者の印象を良くすることです。掃除をして、散らかったものを片づけるだけでも違いますが、キッチンや水回りのハウスクリーニングをあらかじめしておくと、費用はかかるものの、その費用以上に査定価格が上がるかもしれません。
しかし、マンション査定はリサイクルショップにゴルフクラブを持ち込む場合と違って、査定する不動産仲介業者が買い取るわけではありません。査定価格は、不動産仲介業者が価格について意見を述べる場合の根拠となるものですが、実際に買う人が希望している価格とは必ずしも一致しないのです。
もしかすると、競合する中古マンションより割高な印象を与えてしまい、なかなか売れないかもしれません。
つまり、高く査定されたからといって、高く売れるとは限らないのです。高く売るためには、高く売るためのアイデアを知っておくことが大切です。詳しくは「マンション売却価格アップ!3つのポイント!」でその方法を説明しています。
まとめ
マンション査定にはどうしてもブラックボックス的な要素があることは否めません。しかし、実際の中古マンションの価格は、売却する時の需要と供給で決まります。マンション査定は相場を把握する手段と割り切って、気軽に相談されてはいかがでしょうか。
執筆者:岡田忠純
不動産鑑定士・不動産証券化協会認定マスター
不動産の鑑定評価はもちろん、不動産のキャッシュフロー分析や、取引、投資、開発などのアドバイザリーとして多くの実績がある、不動産のプロフェッショナル。官公庁からの依頼にも数多く対応している。
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